
2025年6月27日に、千葉駅前のそごう千葉店、三省堂書店そごう千葉店さんで、
千葉の郷土史家で「明里」さん(ブログ、Deepランドを運営)と
#ディープ商店街というイベントで対談させていただきました。
同じ版元さんで、私は『昭和の商店街遺跡、撮り倒590箇所』を、
明里さんは『昭和ディープ街トリップ、335カット』を上梓されています。
明里さんはblogで5年間に1,800以上の千葉に関する記事をあげておられ、さらにはZINEや地元の歴史を考える会でも活動され、取材、執筆、出版、即売会に発表と一人でこなされ、大変な熱量で千葉の郷土史に取り組んでおられる方。
私も商店街はかなりマニアックな場所も巡りましたが、少なくとも千葉の商店街についてはまったくかなわない。
これは一度是非お話してみたいと熱望しまして、同じ出版社というご縁もあって今回の対談が実現しました。
全力で取り組んだつもりですが、ひとまずは無事にやりきってほっとしております。
対談は千葉の商店街を語るという内容で、商店街のどこに着目されているのか、どのように見つけているのかなど明里さんから伺え、とても気づきが多い内容でした。
いや、聴衆の皆様と一緒に楽しめるのが最高です。
特にふだんなかなか気づくことのない、読者のみなさまのリアルな反応が非常に楽しいひと時でした。
平日金曜18時と勤め人の方にはお集まりにくい時間の中、遠方から多数ご来場いただき本当にありがとうございます!
フォロワーさんも複数いらっしゃって、直接お会いする機会が今までほとんどなかったものでとても嬉しく。
いやもう、対談での気づきやホント読者の皆様とのサイン会での触れ合いや客席の空気が楽しい。
お越しになれなかった方のためにも、当日の模様を少々。
この日はおおまかには
・商店街の見つけ方
・千葉のおすすめ商店街と、その見どころ
・Q&Aとなりました。
商店街の見つけ方は拙著でも触れましたが、明里さんから伺って印象的だったのは、「銭湯や郵便局、役所、江戸期の城跡などはその近辺に商店街があることが多く、そこから探す」というものでした。
いずれもそこを中心に街ができる、人が集まる場所ですから。
私も市役所や城跡はチェックしていましたが、銭湯や郵便局はなるほどと。
特に伺いたかったのは、ネット上に情報が全くない明治時代と思われる郵便局舎を捜し当てたストーリー。
明里さんは、航空写真やストリートビューを駆使されて見つけたとのことで、テクニックもさることながら熱意の高さは非常に驚かされました。
また、埋立地の昭和や全国の商店街を扱ったZINEへの言及では、お互い知っているZINEがいくつも登場し、接点の多さも驚き。
いや、対談も気づきが多く楽しい。
千葉のおすすめ商店街は、私は佐原の再生ストーリー、10年ちょっと前の京成八幡、
木更津もちょっと話せたかな?
明里さんは、野田の近代建築、都会的な柏、寂れと再生の花見川団地、独特の埋立地の雰囲気、検見川浜から稲毛海岸にかけての埋立地に点在するショッピングセンター、朽ちてゆくレインボーショッピングセンター、などのお話でありました。
柏はノーマークでしたが、そごうの回転展望台のお話などは、自分も小さい頃によその回転展望台に連れていってもらった記憶があり懐かしいなと拝聴。
写真の構図も、柏そごうをバックに古い町並みとあわさったもので、こういう視点があるのかと真似したくなるほど。残念ながら柏そごうはもうなくなったとのことですが。。
明里さん紹介の夜の松戸は渋谷のようで、地元もこういった見つめ方がある、何もないことなど決してない、というのが明里さんらしい。
埋立地や再開発地区に着目される明里さんの視点は、私が注視する「残存する風景」と通じるものがありました。
そしてQAでは様々なご質問を頂きましたが、思いのほか町並みに関するご質問も(私のフォロワーさんはレトロ好きな方の他、クリエイター系のプロの方は複数おられると思っておりましたが、公共系の方も結構いらっしゃるようで、私のような商店街を歩き回っているブログに対し、プロフェッショナルな方から注目を集めているのは驚き、栄誉な事であると思いました)
私がお答えした範囲で(ご参加されなかった方も気になる項目かなと)
「お店の方にどうやってお声をかけて写真を撮ればよいですか?」
→これは私も意外と気が小さくて長年試行錯誤して、まあ外観をパッととるスタイルも多いのですが、どうしても店内を撮りたいときは、
「昔ながらの古い商店街の写真を撮るのが好きで、撮り歩いています。人は映らないようにしますので、店内の写真を撮らせてもらってもよいですか」
と趣味用の名刺を渡してご挨拶するようにしてます。パブリックスペースであっても店内は要許可ですね。外観ならほぼ許可はいらないんですが、場所によっては私道扱いで撮影が許可制のところもあります(現地に行くと明示されてますが、新宿のG街や京都のN市場が外観も許可制とWEBで明示、大垣のキャッスル街は近年撮影禁止になった模様。。)
たいていgoogleのクチコミにもあるので、喜び勇んでいく前に、対応可能な範囲か確認はするようにしてます。(特に書籍やTVなど二次利用が難しくなるので、基本的にはガチガチの許可制の場所は避けてます)
また、有名になりすぎて観光公害化で撮影禁止になってしまった場所も過去にあり、なかなかむつかしいところではあります。
「職質された経験は?」
これが意外とないんです(笑)逆にがたいがデカイので警察官だと思われることはあります。本業は民間の社内SEですがw
ポイントは、堂々としていることと、同じ場所をあまりウロウロしないこと(私がそそるスポットでも、他人から見ると、なんであんな場所撮ってるんだ?と見えなくもないので)
あと、一番良いのは雑貨屋や食料品店によって、何か軽く買って商店街の歴史など聞いて「こういった風景好きなので撮りあるいんでるんですよー」と言うのもよいかも。
挨拶すると警戒心も薄れます。さすがに魚屋さんしかないときなど持って帰れないのでムリですが(笑)
そういう場合は、一発勝負でさっと撮るのと、極力人は撮らない。撮るつもりなくても誤解を受ける挙動はつとめて自制(すくなくとも目線があっている人や、こちらに向かってくる人がいるときは、無用の誤解を防ぐためにもカメラを構えない)ようにしています。
誤解を招かないのが一番ですね。
「うまくいっている商店街とそうでない場所の違いは」
これはかなり深いテーマで、フォロワーさんも公共クラスタの方が多いので
ご興味のテーマかなと思います。
相当調べこむとまた違った見方もあると思いますが、街歩き的な商店主、お客さんの視点から見ますと
商店街がそもそも衰退した要因の大きなものは
インフラ面では
・自動車の普及。鉄道やバスから自動車へ。田舎は一家に一台どころか一人1台
ゆえに、道が狭く駐車場が少ないと不利
・病院や大学、役所の移転、市電の廃止などで動線が変わる
・交通が不便すぎる(大都会の場合、駅から近い商店街が生き残りやすい)
商店の面では
・常連客以外入りにくい雰囲気がある(何か買わないと出にくい雰囲気)
・いつやってるかわからない(2度閉まってたらもう行かなくなる)
・空き店舗も住居として使っているので他人に貸せないし、貸すのも賃貸借契約
リスクはあるのであえてやりたくない
などなどいろいろありますが、佐原や豊後高田、伊勢のおかげ横丁(一見古そうに見えて実は平成にできた町)など、やりようによっては人を呼べるところも多くあります。
私も観察はプロですが、商店街再生のプロではないのでこれや!といううまい方程式は無いのですが、何かヒントになれば幸いです。
ただ、うまくいっている商店街はやはり共通項があり、そこがカギかなーとも思います。若い人が店を出しやすいところ、他にない古い雰囲気(超重要)が残されている、うまく活用している、そのうえで(これら素地がある大前提をもとに)プロモーションやイベントを定期的に行っているところが、うまくいっているようです。
と、本題の商店街巡りというより拙著の巻末コラム続編のようなお話でしたが、
当日参加したいけど無理だった方々にも当日の空気を少しでもお伝えしたく。
